TDM対象薬物とは
TDMは血中濃度の高さと副作用の強度や発現頻度との間に関連性があるものに対して行う(関連問題90回-165)
有効濃度域が狭い薬物に対して行う(関連問題87回-165)
国家試験に良く出るTDM対象薬剤
上記の表では多すぎるので、過去問で見るものをまとめました。
・ジゴキシン(強心薬)
治療域 0.5~2.0 ng/ml (容量注意)
代謝、腎代謝、クレアチニンクリアランス値を元に投与設計すること(88回-216)
T1/2 = 1.5 dayのため定常状態まで1週間以上かかる(81回-165)
ジギトキシンはT1/2 = 4-6 dayのためジゴキシンより生物格的半減期が短い(93回-164)
トラフで測定(ほとんどの薬物)(93回-164)
腎障害患者や妊婦では内因性交差物質を生成するため、真の値より高く評価してしまう(93回-164)
・テオフィリン(気管支喘息治療薬)
治療域 10~20 μg/ml
肝代謝(CYP1A2)
中毒症状:痙攣
キサンチン系の薬なのでアロプリノール、麻黄との併用は慎重投与
・フェニトイン(抗てんかん薬)
治療域 10~20 μg/ml (小児 5~20μg/ml) (93回-163)
肝代謝 fp(fuB)<0.2のため、肝クリアランスに血中遊離型タンパクが関与
(他にfp<0.2の薬物 「フエトルワ」で覚える:フェニトイン、トルブタミド、ワルファリン)
血清分離剤に吸着するためそれを含む採血管の使用は避けたほうが良い(87回 問240)
非線形を示し、通常用量で代謝過程に飽和
・フェノバルビタール(抗てんかん薬)
治療域 10~40 μg/ml (94回 問164)
肝代謝:半減期長く定常状態まで10~30日かかる。
中毒症状 眠気と中枢抑制、運動失調など
線形薬物動態である(93回 問163)
上記2点の薬物は成人より小児のほうが代謝が早い。また肝酵素誘導する。(92回 問164など)
(酵素誘導する薬物「フェフェカルリ」と覚える:フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、リドカイン)
・ゾニサミド
肝代謝
非線形を示し、通常用量で代謝過程に飽和 (96回 問163など)
・アミノグリコシド系抗菌薬(ゲンタマイシンなど)
腎排泄
中毒症状:第Ⅷ神経(聴覚)障害
測定はトラフとピーク両方共。トラフ値を低く抑える(10倍してもピークに届かないように)
濃度依存性(アミノグリコシド)
EDTA、ヘパリン等の抗凝固剤などは血中濃度測定に影響を与える。
・バンコマイシン
腎排泄
トラフ値が10 μg/mlを超えないようにする
中毒症状:第Ⅷ神経(聴覚)障害
消化管吸収がほとんどないため、傾向投与はTDMの対象とならない
MRSAに効く。(MRSA有効薬 「ていばんだってむりあるべ」)
・タクロリムス、シクロスポリン(免疫抑制剤)
治療域
タクロリムス 10~15 ng/ml
シクロスポリン 100~200 ng/ml
肝代謝 CYP3A4
血球中への移行が高いため、全血液中の薬物濃度を測定する
・メトトレキサート
代謝 腎排泄
中毒域(大量投与時) 3回測定する
24時間後 10 μg/ml以上
48時間後 1 μg/ml以上
72時間後 0.1 μg/ml以上
中毒症状:ショック・悪心嘔吐
・リチウム
躁うつ病
代謝 腎排泄
中毒症状 吐気嘔吐、振戦、傾眠発熱 補液や利尿薬で対処
血液透析OK(ジゴキシンは組織移行性が高いため、透析は効果をなさない)