特定化学物質の難分解性と高蓄積性の違い
分類 | 難分解性 | 高蓄積性 | 毒性 |
---|---|---|---|
第一種化学特定物質 | ○ | ○ | ヒトへの長期毒性 |
第二種化学特定物質 | ○ | × | ヒトへの長期毒性 |
第一種特定化学物質は、難分解性&高蓄積性を持ち、かつ長期毒性 を有する化学物質で指定を受けたもの。特定用途以外の製造、輸入、使用は禁止されている。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)によるカネミ油症事件が契機となり
制定された化審法により、指定されている。30種類ほどあるので覚えるのはかなり大変。
薬剤師国家試験における過去問の出題と例題
第97回薬剤師国家試験-問134
「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」(平成21年改正)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1 対象となる化学物質の中には、環境中で分解されやすいものも含まれる。
2 ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン (PCDD) は、第一種特定化学物質に指定されている。
3 監視化学物質の設定は、化学物質の環境への放出量を把握することを目的としている。
4 第二種特定化学物質は、高蓄積性を有し、ヒトヘの長期毒性又は高次捕食動物への毒性を有する。
5 優先的に安全性評価を行う必要がある化学物質として、優先評価化学物質が設定されている。
「簡単な解説」
1:化審法の対象となる物質の中には、難分解性でなくても対象となる化学物質はある。
2:PCDDはダイオキシン類。
3:放出量の把握が目的ではなく、有害性を調査し毒性があると判断したら第一種特定化学物質へ引き上げることが目的。
4:第二種特定化学物質は、高蓄積性はない
第99回薬剤師国家試験-問21
1 塩化トリフェニルスズ
2 トリクロロエチレン
3 ポリ塩化ビフェニル
4 ポリ塩化ジベンゾフラン
5 ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン
これは、まだ有名な物質が出たから分かりやすいですね。それじゃあ、オリジナル例題を出してみます。
「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」によって規制されている第一種特定化学物質はどれか、1つ選べ。
1 トリクロロエチレン
2 ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン
3 2,3,7,8-テトラクロロ-p-ジベンゾジオキシン(TCDD)
4 ヘキサクロロブタ-1,3-ジエン
5 テトラクロロエチレン
こちらの答え分かりますか?
正解は、4番のヘキサクロロブタ-1,3-ジエンです。クロロが入っていたり、英語の略称があると分かりにくくなります。
おすすめは第二種特定化学物質を覚える
第一種特定化学物質は種類が多すぎるので、まず第二種特定化学物質(高蓄積性なし)の方を覚える事をおすすめします。
覚えるべき第二種特定化学物質は、以下の3種類。
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
四塩化炭素
この3つを選択肢から消去して、あとはダイオキシン類や環境ホルモンなど間違えを選ばないように、第一種特定化学物質を見つける事で正解に辿り着けるのではないでしょうか?