細胞膜などの生体膜にあり、膜を通して物質の輸送をするタンパク質の総称を輸送体(トランスポーター)といいます。輸送体の中で、よくイオンチャネルとイオンポンプが出てきて、混合するため違いについてまとめていきます。
チャネルとポンプの違いは、濃度勾配に従うか?
結論から書いてしまうとチャネルとポンプの違いは、
・イオンチャネル:濃度勾配に従う
・イオンポンプ :濃度勾配に逆らう
という違いがあります。ただ、濃度勾配といっても、「通常のときの濃度」を知っていないと理解できないので、次の細胞外イオンと細胞内イオンを覚えましょう。
細胞外イオンと細胞内イオン
詳しくは細胞内液と細胞外液のイオン濃度のゴロ、覚え方に書いたので、参照してほしいのですが、体内では細胞内と細胞外に決まったイオンの偏りがあります。それを下記のゴロで覚えよう。
な :Na(ナトリウムイオン)
かに:Ca(カルシウムイオン)
くる:Cl (塩化物イオン)
※細胞の外側に多いイオンは、Na+(ナトリウムイオン),Ca2+(カルシウムイオン),Cl-(塩化物イオン)。CaとKを間違いやすいが、「かに」なので、「Ca2」と覚えれば、Kは1価なので違いがでる。
輸送体(トランスポーター)の種類と理解
薬剤師国家試験の生物や薬理で出てくるトランスポーターは、Naチャネル、Caチャネル、Kチャネル、などのイオンチャネルと、Na-Kポンプ、Caポンプ、Na/Ca交換系などのポンプがあります。
もう1度下記の画像を見てみましょう。
CaチャネルとCaポンプの違い(画像左)
前提知識 :Caイオンは「細胞外」に多い
Caチャネル:濃度勾配に従い細胞膜の「外→内」に
Caポンプ :濃度勾配に逆らい細胞膜の「内→外」に
Caイオンの筋小胞体の例外(画像右)
前提知識:筋小胞体では「細胞内」にCaイオンが多い
Caチャネル:濃度勾配に従い「内→外」に
Caポンプ :濃度勾配に逆らい「外→内」に
CaチャネルとKチャネルの違いを理解する
前提知識:Caイオンは「細胞外」に多い、Kイオンは「細胞内」に多い
Caチャネル:濃度勾配に従い細胞膜の「外→内」に
Kチャネル :濃度勾配に逆らい細胞膜の「内→外」に
イオンの移動は生物や薬理で繋がる
イオンとポンプの違いを理解できましたか?下記にイオンチャネルを理解することで横断的に繋がる知識をまとめました。ぜひ、読んでみてください。
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