卒業論文の書き方が学べるオススメの3冊(理系、医療系向け)

○月に卒論の提出締切だ。そう考えながら日々過ごしている学生もいるのではないだろうか。卒業論文を書くということは、薬学生の研究室生活で最大の試練かもしれない。僕自身も現在、卒論を1度書いて先生の査読を待っている身である。

研究はしてきたが、いざ「書く」となると身構えてしまうのが不思議ではあるが、卒論を書かないと卒業できないのだからまとめるしかない。卒論を書くときに何から手を付けたらよいのか、医学情報を書くときにどのような注意が必要なのか。卒論を書く前に調べ3冊の本を読んだ。

そんな学生ならではの悩みを少しでも解決できればと思う。ちょうど、隣の学生は病院就職の小論文を書いているのを見ると、就職活動でも使えるかもしれない。

f:id:makio1186:20150712002631j:plain

やればできる卒業論文の書き方

やればできる卒業論文の書き方は、工学部の標準な卒論の書き方について、わかりやすく書かれている。一番の特徴は『卒業論文を速く楽に書くための心得』『おすすめの書き順』『ダメな論文を書く14の方法』という他のサイトや本にはない切り口でのまとめをしている点である。

『おすすめの書き順』が一番参考になるため、引用させてもらう。

「難易度の低いものから書く」の原則に従って、次の順序で書く

1.謝辞:ウォーミングアップ。とりあえず書いておく。卒論のファイルがコンピュータ上に出現するので、心理的に勢いがつく。
2.図と写真:この量が論文の量を事実上決定する。
3.結論表の作成
4.道具説明の章のメモ(箇条書き程度のもの)
5.やってみたことの章のメモ
6.参考文献のメモ
7.その他の部分(難しい部分は当面は短く書くだけでもよい)
狭く深く書き進めると、論文の全体像が見えなくなるので注意。広く浅く書く。

僕も先輩の論文を参考にしながら行った。まず謝辞を埋めて、図と表を作ってページ数が増えた気がしてくる。方法は、変わることがないから研究したと通りに書く。そうすると何だか卒業論文が書けてきた。

是非、本も出版されていて800円と安いので手に取ってみてほしい。

理系のための「即効!」卒業論文術―この通りに書けば卒論ができあがる (ブルーバックス)

理系のための「即効!」卒業論文術―この通りに書けば卒論ができあがる (ブルーバックス)

こうすれば医学情報が伝わる!わかりやすい文章の書き方ガイド

薬学部卒で医薬品の承認申請書の作成などをしていた方が書いた、医学論文や治験薬概要書の書き方を指南した本。この本が素晴らしい点は、「具体的な例文を必ず示している事」。これが非常に勉強になる。

「文をわかりやすく書く」という点において抽象的に説明されても、どう書き方を直せば良いのかわからないことが多い。しかし、この本をとにかく、「以下の2つの文を読み比べてみてください。」という課題を読者に求め続ける。

例1:医師が患者の関節の痛みと腫れのスコアを算出した。
例2:患者の関節の痛みと腫れのスコアを医師が算出した。

どちらも「誰がどうした」という原形で示しているが、主語と述語が離れてしまっているため、例1の方がわかりにくい。などなど。こういう例が、およそ100題は書かれている。

各章には演習問題もついており、150ページという薄い本だが、確実に卒論を書く前に読む価値がある。特に医療に特化している点で、非常に稀有な書籍ではないかと思う。

こうすれば医学情報が伝わる!! わかりやすい文章の書き方ガイド (ライフサイエンス選書)

こうすれば医学情報が伝わる!! わかりやすい文章の書き方ガイド (ライフサイエンス選書)

理科系の作文技術

1981年発刊と古いが侮るなかれ。卒論を書くときに注意する点が書かれている。事実と意見を充分に精選し、事実と意見を峻別しながら明快に簡潔に記述する。つまりロジカルに書く。ということをしっかりと伝えている。

読むのは誰で、その文章から何を知りたいと思っているか。それに応じて自分は何について書くか主題を決め、最終的にこういう主張をする、という目標を定めて書き始める。卒論を書き始める前に読むには、多くの示唆を示してくれる本です。

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

理科系の作文技術 (中公新書 (624))

 番外編:日本語を学ぶ1冊

上記の3冊を読めば医療系の卒論を書くには充分だと思うが、もっと学びたい。小論文やエントリーシートで日本語の難しさに苦戦している。という方は下記の本をおすすめしたい。

 「伝わる文章」が変える作文の技術

上記の2つ目に紹介した、わかりやすい文章ガイドのように「具体的な事例」がひたすら掲載さえている。これは朝日新聞の記者が、読者から送られて来た文章を添削したものを載せており、読み比べる事で違いがはっきりわかる。

投稿文:30年ぶりに少し時間が持てたので今までの自分の人生や会社でのことを振り返り棚卸ししてみると自分は幸せだったなと思えています。
添削:30年ぶりに少し時間が持てた。今までの人生や会社のことを振り返って「棚卸し」をしてみた。自分は幸せだった、と思う。

このような分かりやす事例が65も載っている。卒論をキッカケに「書く」を学び直したい人に紹介したい1冊。

「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ

「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ

最後に

卒業論文の書き方には、ある程度の作法とロジカルに書く技法が必要になってくる。だけど、卒論を書いてみて感じる事は「書く」ことでより自分の中に研究内容を落とし込み、自分の言葉で説明できるようになること。相手に伝えるように説明するために必要なことを考える事。これを学んでいるのではないだろうか。

この記事を読んで、まずは紹介した本をから手をつけて卒論をスムーズに終える事ができることを願っています。

関連記事